【京都】世界遺産・二条城の風雅を、光と伝統文化の融合で蘇らせる。秋の夜を堪能する体感型アート展「NAKED meets 二条城 2025 観月」が開催。
2025/10/30 文・西村佳芳子
台所前庭を彩る、華道家元・池坊とネイキッドのアートテクノロジー
東京駅のプロジェクションマッピング「TOKYO HIKARI VISION」や「NAKED FLOWERS」など、バーチャル×リアルをクロスオーバーした体験を創出してきたクリエイティブカンパニー、ネイキッドがこの秋開催するのは、京都・二条城を舞台にしたイベント。深い歴史と最新の技術を目の当たりにする、体験型のアート展だ。
静かな秋に身を委ね、新旧のアートに没頭する。
特別名勝 二の丸庭園のライトアップ。
徳川家康によって1601年に築城された二条城は、江戸時代の栄枯盛衰、その後の日本を見守ってきた存在。和歌や書道、華道など文化に造詣の深かった後水尾天皇がここへ行幸し滞在した史実も残されている。
重要文化財 唐門のプロジェクションマッピング。美しい彫刻が光に照らされ、特別な観月会へと誘う。
今回のイベントは、その後水尾天皇が愛した「立花(いけばな)」の文化にフォーカス。かつて二条城の人々が嗜んだ観月体験とともに、いけばなアートと光のアートが展開される。敷地内には国宝や重要文化財に映し出された光のアートが目白押し。先人の文化に想いを馳せつつ、現代でしかできない体験に恍惚とする。
事前収録した能楽「融」(観世流シテ方 河村晴久氏)の舞をプロジェクションマッピングで再構成(観覧には本丸エリアチケットの購入が必要)。
国宝・二の丸御殿 大広間前のプロジェクションマッピング。江戸の観月会を映像で再現し、現代にその文化を伝える。
《台所前庭 月影に出逢うやまとうた》。紙にしたためた言葉を読み取ると和歌が生まれる、インタラクティブな体験に。
観月の夜を盛り上げる、おいしいひととき。
京都の人々と文化をつなげる企画として、老舗茶舗「福寿園」、京都物産出品協会とのコラボレーションも実施。平安時代の遊び「月見香」をアレンジした「観月茶」では、「新月」「半月」「満月」をイメージした3つの香りから好きなものを選び、それに対応したお茶が供される。用意されるのは、ドライフルーツやスパイスを組み合わせた12種類のブレンドティー。香り、味、視覚を通じて、京都の茶文化と美月の心を演出する。
創業200年以上の「福寿園」と作り上げる体験「観月茶」。
台所・前庭エリアでは、京都各地の味覚を楽しむ物産展も。「観月茶」に合わせた限定メニューが販売されるほか、商品提供時には月や紅葉の映像が投影されるプレゼンテーションも見どころ。
京都物産出品協会とコラボレーションして、一堂に会する京都の美味。
清流園のライトアップでは紅葉と秋の七草をイメージした香りの演出も。

