今も通いたくなる理由がある。都内・老舗洋食屋のオムライス3選

2026/01/15 文・natsuri

インテリア会社に勤務する傍ら、年間200軒以上を食べ歩くグルメ好きなnatsuri (@ntr_128) さん。natsuriさんが、旅先で出会った“記憶に残る一皿”や“とっておきのお店”をご紹介。


昔ながらの洋食を代表するメニューのひとつ、オムライス。作り方はいたってシンプルですが、卵の焼き加減や具材、ソースの組み合わせなどによってその表情は驚くほどに変化します。 

喫茶店では、日常に寄り添う一皿として。町中華では、しっかりと食べ応えのあるごちそうとして。そして洋食屋では、シェフの美意識が反映された料理として。お店ごとに異なる一皿が生まれるのもオムライスの魅力です。 

これまでさまざまなお店でオムライスを食べ歩いてきたなかで、今回は都内で味わえる「老舗洋食屋」に焦点を当ててみました。 今もなお通いたくなる理由がある、変わらぬ魅力をご紹介します。


◼︎にっぽんの洋食 新川 津々井(茅場町) 

中央区新川にお店を構える「にっぽんの洋食 津々井」は、日本の洋食文化を正面から受け継いできた一軒。初代は「たいめいけん」や「銀座スエヒロ」とも縁があり、現在はその流れを汲む二代目シェフが厨房に立っています。その歴史を辿ると、このお店が日本の洋食史の中心にあり続けてきたことがわかります。 

店内は落ち着いた雰囲気で肩肘張らずに過ごせ、日常の食事から節目の席まで、幅広いシーンに寄り添ってくれます。“お箸で食べる洋食”というスタイルも、このお店が大切にしてきた、日本ならではの洋食のかたちです。 

人気メニューの一つである「トロトロオムライス」は、一般的なチキンライスとは異なり、卵と混ぜ込まれていて口あたりなめらか。卵のトロっとした食感と混ざり合い、スプーンが止まらなくなります。二層構成のソースも特徴的。濃厚なクリームソースと酸味の効いたトマトソースが添えられていて、食べ進めるごとに心地よい味の変化をもたらします。 

もう一品の「ハムオムライス」は、前者とは対照的に正統派。卵、ライス、ハム、それぞれの要素が明確で、洋食屋のオムライスとしての完成度の高さが際立ちます。奇をてらわないからこそ、火入れやバランスの確かさがダイレクトに伝わり、長年愛されてきた理由を実感できる一皿です。 

王道と進化、その両方を一度に味わえるのも、このお店ならではの魅力だと感じます。 

にっぽんの洋食 新川 津々井
東京都中央区新川1丁目7-11
https://shinkawa-tutui.com/cc-tsutsui/


◼︎洋食入舟 (大森)

大正13年創業、浅草に根づく老舗洋食屋「入舟」。外観や内装もまるで昭和の老舗旅館のような佇まいの一軒家で、もともと料亭だったのも納得の貫禄。戦後から増築・改築を重ねながらこれまで約100年間、大切に受け継がれてきました。 

赤い敷き込み絨毯の玄関で靴を脱いで2階に上がると、そこにはいくつもの部屋があり、外観からは想像できないほどの広さに驚きます。 

オムライスは薄焼きたまごで包まれた昔ながらの味。濃すぎず薄すぎずのやさしい味付けです。ケチャップの水分をしっかり飛ばしてあるため、コクが凝縮されて味がぼやけずお米もふわっとしていて、作り手の丁寧さが伝わってきます。 

そんな長い歴史を重ねてきたお店でありながら、今も変わらず日常に寄り添う価格感。気取らない優しい味わいと、時を重ねた佇まいから、この街に長く愛されてきた理由がよくわかります。 

洋食入舟
東京都品川区南大井3丁目18-5
https://www.instagram.com/irifune_omori/


◼︎グリルグランド (浅草)

浅草寺の裏手、観光地の喧騒から少し外れた場所に店を構える「グリルグランド」。 

1941年創業で、2025年には2年連続でミシュランガイドのビブグルマンにも選出されている予約必至の人気店です。店内に足を踏み入れると、グリーンのテーブルクロスが印象的な空間が広がり、老舗洋食屋ならではの落ち着きが漂います。 

オムライスは完成度が高く、気づけば無言でスプーンを運んでしまう一皿です。 

表面がしっかりと焼かれた卵かと思いきや、内側は半熟でとろりとほどけ、スプーンを入れた瞬間にそのコントラストに驚かされます。中には具材たっぷりの濃厚なケチャップライス。卵・ライス・ケチャップ、それぞれが主張しすぎることなく、完璧なバランスで成り立っています。王道をまっすぐに突き詰めた、ただひたすらにおいしい一皿。原点にして頂点のようなオムライスでした。 

コロッケグランプリで7期連続で入賞しているカニクリームコロッケも必見ですが、デザートに注文した、ビターカラメルがなみなみに注がれたプリンも絶妙です。 

食後の余韻まで抜かりなく、最後の一口まで満足度の高い一軒でした。 

グリルグランド
東京都台東区浅草3丁目24-6
https://www.instagram.com/grill_grand/

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