銀行建築に泊まる。尾道の街とつながる「Arbor Onomichi」誕生
2026/05/06 文・Meadow編集部
瀬戸内の港町・尾道は、坂と路地が入り組む地形と、長い歴史のなかで育まれてきた街並みによって形づくられた街。観光地として親しまれながらも、暮らしの気配がいまも息づく。
その一角にホテル「Arbor Onomichi(アーバー オノミチ)」が加わった。
瀬戸内の港町・尾道
銀行建築を継承した、尾道の新たな滞在拠点
舞台となるのは、かつて地域の経済を支えてきた旧中国銀行尾道支店跡地。高い天井やキャットウォーク、柱を置かないフラットな構造など、銀行建築特有の面影がそのまま残る。
その重厚な躯体と意匠を受け継ぎながら、「Arbor Onomichi」は旅人を迎える拠点として再生した。
「Arbor Onomichi」
レセプション
ホテル全体の空間デザインとディレクションを担ったのは、プロダクトデザイナーの須藤修。建物の歴史に敬意を払いながら、過去と現在が自然と溶け合う空間を生み出した。
レセプションやカウンター、ソファやシャンデリアといった大型の家具や什器は、オーダーメイド家具を手がける「WATABE WOOD WORKS」と木工職人「CHUGEN」が制作。
その多くが手仕事によって仕立てられ、滞在にやわらかな温もりをもたらした。
街とつながる、吹き抜けのラウンジ
銀行窓口として使われていた空間は、ラウンジへと生まれ変わった。レセプション、ロビー、カフェ、パブがゆるやかに連なり、ひとつの空間を形づくる。
コーヒーを飲む人、チェックインを待つ人、街の住民と会話を交わす人。異なる目的を持った人々が集い、街に開かれた場所として共有されている。
カフェ・パブカウンター
ラウンジの中心にあるのがコーヒーショップ「BERTH COFFEE 尾道」。数種類の豆から選べるハンドドリップコーヒーやエスプレッソメニューに加え、広島・瀬戸田産のみかんジュース、山形県産有機りんごジュースなどが揃う。そのほか、バナナブレッドやキャロットケーキといった焼き菓子も並び、コーヒーの時間をより豊かにする。
朝は、モーニングメニューも提供。グラノーラやポタージュ、オープンサンドといった軽やかなものから、魚や肉を主役にしたしっかりとした食事まで、滞在スタイルに合わせて選べる構成だ。
コーヒーショップでは、産地や焙煎にこだわったコーヒーや焼き菓子を提供する。
コーヒーショップのカウンターに続く小さなパブ「Inlet」では、定期的に変わるタップビールやボトルビール、ワイン、焼酎など、つくり手の想いやストーリー、つながりを軸にセレクトした1杯が並ぶ。
気軽にオーダーできるドリンクと軽やかなフードは、街に出かける前や戻った後の余韻に浸るひとときに。
夜はパブへと切り替わり、クラフトビールやナチュラルワインを用意。
多様な滞在スタイルに応える、8タイプの客室
全16室からなる客室は、建物の骨格を活かして設計。「Arbor Onomichi」の世界観を詰め込んだ50㎡ほどのシグネチャールーム、グループや家族で利用可能な4人部屋、個人旅行者を迎えるドミトリーなど、個性の違う8タイプを展開。多様な滞在スタイルに応える空間となっている。
シグネチャールーム
バルコニーダブルルーム
尾道の街とつながる、滞在の拠点
尾道は、古くから海運と商業で栄えた歴史ある港町。瀬戸内海の美しい島々を結ぶしまなみ海道の起点でもあり、古寺が点在する風景に歴史情緒が息づく。「坂の街」や「文学の街」としても知られ、坂道や路地を進むほどに思いがけない景色に出会える魅力もある。
そんな尾道に生まれた「Arbor Onomichi」は、滞在の拠点であり、街の記憶へとつながる場所。尾道が歩んできた歴史の気配を感じながら旅の時間を深めてみて。

